技術解説 バイポーラトランジスタのバイアス(固定バイアス)
アナログ回路設計
トランジスタのバイアス
トランジスタをスイッチとして使う場合には、VBE電源をオンオフするだけですのでバイアスは必要ありませんが、トランジスタをアンプ(信号増幅器)として使うには、バイアスが必要です。
バイアスをかける
トランジスタのバイアスとは、トランジスタの動作の基準電圧を印加するということです。一般に「バイアスをかける」と言います。
トランジスタは素子の個体バラツキがあり、温度変動にも敏感ですので温度変化や素子バラツキ、電源変動などに対しても設定バイアスが出来るだけ一定になるように設計しなければなりません。
固定バイアス回路
下図に入力信号の有無に関わらず、直流ベース電流が供給される固定バイアス回路を示します。
電源VCCより抵抗RBを介して、ベース電流(IB)が流れます。ベース電流が流れるとトランジスタがオン状態になり、RLを介してコレクタ電流(IC)が流れコレクタ電圧(VCE)が発生します。
固定バイアスによる安定増幅動作
固定バイアス回路の入力VINにカップリングコンデンサCinを介し交流信号を入力すると下図のようにコレクタ電流ICは入力に相似形な増幅信号を出力します。
ただし、コレクタ電圧(VCE)はVcc-RL×ICで表されるためVBEとは位相が反転します。