技術解説 ブラシレスモータの制御回路構成(専用ICの利用)

モータの制御

ブラシレスモータの制御回路構成(専用IC)

多品種少量生産製品にブラシレスモータを搭載する場合の制御回路の合理的な設計指針を紹介します。

17章 ブラシレスモータの制御回路構成(専用IC)

ブラシレスモータの制御回路構成(専用IC)

元来、各種電磁モータの中でもブラシレスモータは、構造的に性能が制御回路に依存する度合いが最も大きいモータです。本章では、ブラシレスモータの制御回路として専用ICを使用した制御回路構築のスタイルを紹介したいと思います。

常に標準コアを用意し効率よい製品開発を心がける

ブラシレスモータに用途は広く多品種少量生産型の製品開発が特に多い分野です。大企業が開発する少機種で大量生産向けのモータシステムなどでは、高額な開発コストを掛けるカスタム開発スタイルの比重は高いですが、一般的には、モータメカ装置の機種分だけ様々に異なった仕様があり、その仕様に合わせた機能、性能設計を施して開発せねばなりません。

そうは言っても、開発する企業の財務事情はどこも厳しく開発要求毎に1から設計をしていては、資金的にも人材キャパ的にもとてもやり切れるものではありませんので常にできる限り無駄を排除して、効率の良い開発を意識して開発に取り組まねばなりません。

どこの開発者も工夫の一環として、「標準コア」と成り得るプラットフォームを複数種類用意することを常に意識して技術、製本開発に取り組んでいます。まだ技術、市場の変化も敏感に感じ取る意識を持ち、常に「標準コア」の改良も取り組む必要があります。

製品開発要求が発生するに応じて、手持ち資産である「標準コア」から適するものを選び、要求仕様に必要な周辺回路を設計付加させて製品開発を行うのが最も効率の良い開発スタイルと言えます。

汎用部品を使用した制御回路構成が望ましい

カスタム品は、要求仕様に合わせて自分専用に用意できるのでより無駄が少なく、機能性能にマッチしたものが用意出来ますが、部品コストが相当に高く、いつでもメーカや流通在庫を確保することは難しいです。

このコストおよび、調達性の観点から、出来得る限り汎用部品を選び、要求仕様を満たす構成回路を設計することが望ましいです。

カスタム品を使用すると、要求仕様に合わせて自分専用に用意できるのでより無駄が少なく、機能性能にマッチしたものが用意出来ますが、初期開発費も含め部品コストが高額になる上、常時メーカや流通在庫を確保することも難しくなります。余程、資金が潤沢な大企業ででもないと出来ない話です。

汎用品であれば、特に需要、人気のある仕様の製品は、オリジナルメーカ以外にも2ndベンダー、3rdベンダーなど複数メーカがコンパチ品を開発しますのでコスト、調達の観点からもより選択肢が広がり選定する側としては、より望ましい姿と言えます。

モータ専用ICは汎用品も多い

モータ市場はとても大きく需要も膨大なのでモータ専用のICは、汎用品として製造販売するメーカ、製品は沢山あります。

部品選択、構成回路決定方法の優先順

専用回路のICは、広い使用条件に適合は出来ませんから、需要要求の全てが満たせる訳ではありませんが、前述の述べた事情、観点より、部品選択、構成回路の決定は、下記の優先順で考えるべきです。

①できるだけ汎用の専用ICの中から選ぶ
②汎用の専用ICでカバーが難しい場合、
汎用マイコンを選択肢におき、ソフトウエアでカスタム部品化する。
③どうしても、汎用品で実現できないものは、
コストが許容できる範囲でFPGAやASICなどのカスタム部品化を検討する。
専用ICを主とした基本制御回路の構成例

「標準コア」となるブラシレスモータの制御に必要な最低限の回路構成例を下記に示します。

ブラシレスモータ基本制御回路(Brush less motor basic drive circuit)

「標準コア」の構成を守り、要求仕様を満たすか否かで、次の2種類のパーテーション分けを決める。

①全仕様を満たす、モータドライバ1chipICがあればベスト。
「標準コア」構成部品は1個で済む。理想形。
②良くあるケースが1chipICのドライバ部の耐圧、電流容量不足の場合。
Power Driver部をディスクリートMOSETで構成。それ以外のPre Driverまで搭載されたモータコントロール1chipICを選択。
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