技術解説 アナログ多値入力回路 1
実用アナログ回路
アナログ多値入力回路 1
制御装置(回路)では、ユーザからの入力情報として複数の機能、動作モード、条件の切替えをすることがあります。また、任意に1000とか10000の桁の整数値を入力するケースもあるでしょう。
制御装置が、上流にCPUを持つコンピュータと接続されているシステムならデジタルI/Fで制御装置へ接続しておきソフトウェアによるシリアル通信で値を入力することができますが、制御装置がローカル単独のものですと、入力値を人間が行わねばなりません。その場合は、制御装置に入力するハード回路を設けておく必要があります。
一般的な多値入力回路の例
例えば、動作モードが16種類ある装置の場合で考えます。単純にMCUの入力portを16本用意し、各portを16個のスイッチSW1~SW16で電源Vccに接続しておきます。ユーザ(人間)が、任意のスイッチをONにすれば、そこ経路に接続されたportがHi(Vcc電位)になり、MCUでは"1"と認識されます。
ユーザが設定したいスイッチをONにして使いたい動作モードを選択しMCUに設定する仕組みです。
しかし、この単純な形をとると切り替える種類の数だけ、スイッチとMCUの入力portが必要になり切り替え選択する数が多いと、回路基板の面積の大半がスイッチとport配線ということになりかねません。また、高価な部品であるMCUもpin数の多いものを使わねばなりません。これは、トレンドである小型な組込み機器には余り望ましい形ではありません。
多bit化による部品削減
前述した16個の判別回路は、人が判別し易い10進数の考え方です。これを2進数化して4bitの量子判定を行うと下記回路図に示すように、スイッチとport数は4個と1/4の数で済みます。
アナログ回路で部品を削減
アナログ回路技術を応用することでも部品数を削減することができます。下記回路例は、ラダー抵抗回路とスイッチを組み合わせた4bitDACです。MCUの入力には、ADC入力を1本使用するだけです。
各スイッチ(SW)に応じて、合成抵抗による分圧値が変わるのでアナログ電圧を測定することで状態判別が可能になります。
この方法は、使用するMCUのpin数を削減したい時に活用できるテクニックです。