技術解説 オペアンプの応用-バッファ回路
アナログ回路設計
オペアンプの応用-バッファ回路
オペアンプで最も良く活用される応用例としてバッファ回路があります。本稿では、ボルテージフォロワによるバッファ回路を解説します。
ボルテージフォロワ回路
増幅回路の役目は電圧を大きく増幅することですが、もう一つの重要な役目があります。
「信号電圧は変えずに大きな電流が流せるようにする」
インピーダンス変換です。
多くの受動部品や高いインピーダンスのセンサを組み合わせた回路などは、接続される回路で電流を流すと特性に悪影響が出ます。要するになるべく電流を流さずに、純粋な信号電圧だけを後段へ伝達することが望ましいのです。そこで活躍するのが、ボルテージフォロワ(バッファ)回路です。
ボルテージフォロワ基本回路
回路結線はシンプルで、オペアンプの出力と反転入力を接続します。入力端子は、非反転入力端子です。
非反転増幅回路の一種ですが、非反転増幅器と異なるのは、増幅度=1(0dB)で使用することです。
ボルテージフォロワで注意すべき点
負帰還を利用した増幅回路では発振マージンが重要で、ボルテ-ジフォロワも例外ではありません。
負帰還アンプは、理想的には入力と出力は位相ずれのない状態で反転入力端子に帰還印加されるため出力が増加すると、それを減少させる方向にオペアンプ内部が動作します。しかし、オペアンプの入力と出力の間には常に位相遅れ(ズレ)あります。入出力間の位相ずれが180°に達すると、反転入力と非反転入力の位相が同相となり、あたかも正帰還の状態となり、出力を増大させる働きとなり制御不能な発振状態になってしまいます。
入出力の位相ずれの要因
大きく分けて下記の2つが存在します。
●オペアンプの持つ位相補償特性(位相余裕度)
●オペアンプ以外の帰還ループの特性(入力容量、出力容量、帰還抵抗など)
ボルテージフォロワの発振対策
結論から言うと、完全対策はありません。発振原因が何かによって対策方法が変わってくるからです。しかし、原因が何にせよ共通で効果が期待できる対策例を下記に示します。
●入力端子間で位相補償を設ける
●出力にCRフィルタを付加し意図的に高域のにゲインを下げる
位相余裕度は、非常に難しい問題で上記の様な外付け定数を決定するのは大変な手間が掛かります。実際の回路基板で、半田こてを持って抵抗、コンデンサを取り付けたり外したりはとても大変です。こんな場合、本稿で紹介している回路シュミレーション(SPICE)を活用すれば、机上で相当な精度で定数Fixが可能ですから、大いに活用すべきでしょう。