技術解説 商品企画5 ~構想設計(全体システム)~

ブラシレスモータドライバの設計事例

商品企画5 ~構想設計(全体システム)~

いよいよ具体的な「構想設計」の設計工程に入ります。目標設計仕様に照らし全体の回路システムをイメージして設計しながら、同時に具体的な使用部品の策定検討も行っていきます。

ワンポイント

最初の構想レベルなので、イメージや概念的であることは仕方がありませんが、抽象的な事象であったとしても、できるだけ具体的に定量的に定義、表現することを意識します。

既に経験値として自己が身に着けているものほど、他者に分かり易く伝えることは、難しいものです。「モノづくり」の世界では、「全ての工程を自分一人で全部やる」ことは、まずありません。複数の専門分野の専門家が多く参加して、多くの工程を経て始めて「モノ」が出来上がる訳です。ですから、一緒に「モノづくり」する参加者、チーム員、仲間どうしの意識、情報の共有はとても大切な基本行動と言えます。よって、専門外の他工程のメンバーへも自分の考えができるだけ正確に伝わる様な表現を心がけねばならないと考えます。

「分かっている事をわざわざ手間をかけて整理整頓する」

実は、この「ひと手間かける作業」こそ、技術活動のミソであるのです。この「ひと手間」を何度も繰り返すことで、自分の知験が更に磨かれて習熟度があがるからです。人間は経験した回数分だけ、熟練し技能が向上していく性質があります。スポーツや楽器演奏、芝居など上手くなるには、繰り返しの練習が成果につながりますよね?

電気定格、機能、使用技術の整理
  • ●定量化して表現できるものは、できるだけきちんと数値化する。
  • ●制御技術、手法など定性的な概念などであっても、可能な限り内容を具体的に表現する。 第三者が見たときに勘違いしない様に配慮しましょう。
電気定格、機能、使用技術を整理した表
モータドライブ回路システム全体

主機能のモータ制御やシーケンサ以外にも細かな機能回路は必要になります。全体システムは下図の様になります。

センサレスモータドライバシステムブロック図(sensorless motor driver system)
各機能ブロックの分類と説明
各機能ごとに回路を分けると、下記の7つの機能ブロックになります。
・電源回路(5V、3Vの2電源生成)
・シーケンサー(小型MCUで運転制御、管理を行う)
・MCDモータ制御器(+FETアンプ)
・電気ブレーキ(ショートブレーキ回路)
・温度監視(基板温度を監視し過熱保護を行う)
・USBインターフェース(ユーザ指令を受信、制御状態を送信)
・記録装置インターフェース(ログ記録情報を外部ストレージへの接続)