技術解説 速度制御の仕組み(内部制御)

ブラシレスモータドライバの設計事例

(回路ブロック編)

速度制御の仕組み(内部制御)

速度制御の方法

このテーマで扱うモータドライバは内蔵MCUを用いてモータドライバ単独で速度制御ができる他、上位コントローラ(パソコンなど)とモータドライバをUSB接続して外部から速度制御を行う事も出来ます。

今回はモータドライバ内蔵MCUが速度制御を行うケースの制御フローを紹介します。

内蔵MCUによるモータ速度制御のしくみ

内蔵MCUがモータ回転速度制御を行う際の信号の流れを模式的に示します。それぞれのブロックはソフトウェアとMCU内蔵周辺回路(ハードウェア)を適宜利用しています。

内蔵MCUによるモータ速度制御の模式図

内蔵MCUは、外部入力された速度指令の変換、FG帰還加算、PI(ゲイン)制御、PWM生成処理等を行い、速度制御(※1)を行います。この一連の処理フローを停止命令が有るまで循環動作させます。

(※1)FLL(Frequency Lock Loop)による速度差分検出、加算処理方式

(1)上位コントローラ若しくはユーザから、速度指令値が指示されます。この入力には回転数に同期した周波数のパルスで指定するパルス指令や、回転数に比例した電圧で指定するアナログ指令が有ります。
(2)受け取った速度指令値を内部で使う単位に合わせてスケーリングします(16bit分解能)。
(3)指令値と現在の回転数の差分を検出し、モータ特性に合わせたPI制御(P=比例制御、I=積分制御でフィルタを構成)を介しPWMブロックでPWMのデューティ比(16bit分解能)に変換します。
(3)MCDがPWMデューティー比を受けてモータをセンサレス駆動します。
(4)MCDが生成するFG速度信号(※2)をMCUにフィードバックします。
(※2)FG:電気角当たりの速度信号・・・1ppr×1/2極数
今回使用したMCDはモータ端子の転流を検出してFG信号を生成する回路ブロックを搭載しています。
(5)MCUは内蔵タイマー回路を用いてフィードバックされたFG速度を計測(16bit分解能)し、(3)に戻り制御を継続します。