技術解説 誤動作の防止 1

ブラシレスモータドライバの設計事例

(回路ブロック編)

誤動作の防止 1

誤動作防止回路の必要性

モータアプリケーションは大きな運動エネルギーを発生する事も多く誤動作の防止には十分な注意を払う必要があります。

特にMCDのドライバ回路は増幅度が高い為、シーケンス切替えなど運転動作が大きく変える場合や、意図せぬ外乱などにより、繊細な駆動指令信号であるPWM信号にノイズが重畳し誤動作を引き起こすことが多々あります。

今回は非同期信号による誤動作を防ぐ回路的な工夫を紹介します。

MCDのドライバ回路における誤作動防止回路図

この回路への入力信号はS/S(スタート/ストップ)、PWMO(PWMデューティー比)、RST(ハードリセット)です。この内、モータドライバ内のクロックに同期した信号はPWMOのみです。ユーザがスイッチ等で指示したり上位コントローラが指示するS/SとRSTはモータドライバ内のクロックとは非同期信号です。

ポイント

MCUの運転器(ソフト制御)はMCU自体が誤動作や暴走した場合に自律的に運転を止める事が出来ません。この為MCUとは別にスタンドアロンで独立した動作が可能なハードウェア回路を設ける必要があります。

この回路ではMCDの制御指令のPWMO信号とRST信号のANDを取り、S/S信号のNOTとANDを取った上でTSP/VSP端子に入力しています。この回路によって大きな運転変更を行った場合でも常にPWMO信号が反映されたMCDへの入力となります。結果として非同期のRSTやS/S信号で生じる異常なモータ駆動の可能性を排除できます。

構成部品の選定
●3値AND回路:
U4:TC74HC08FK TOSHIBA製 (VSSOP14)
基板面積に配慮し、小型パッケージ(VSSOP14)のものを選択
※S/S(スタート、ストップ)信号からの経路に正論理に合わせるためU5:TC74VHC04FKを挿入しています。