技術解説 誤動作の防止 2

ブラシレスモータドライバの設計事例

(回路ブロック編)

誤動作の防止 2

電気ブレーキ回路

今回採用したMCDには電気ブレーキ回路が内蔵されていません。そこで電気ブレーキ回路はディスクリート回路を用いて実装しました。このために電気ブレーキはMCDと連携した動作をする必要があります(例えばMCDのドライバと電気ブレーキ用MOSFETが同時にオンになると両者間で間貫通電流が流れてしまいます)。また、MCUかMCDが何らかの要因で誤動作した場合にも同様の可能性があり、回路やモータの故障を引き起こす原因になります。

この不具合を防止するために、回路的な工夫を施しています。

電気ブレーキ回路図_1

この回路への入力信号はS/S(スタート/ストップ)、BRKO(ブレーキ)です。S/Sはユーザがスイッチ等で指示するか上位コントローラが指示します。BRKO信号はMCUが出力します。

電気ブレーキ回路図_2

この回路の出力はブレーキ用MOSFETのゲートに接続されます。

ポイント

MCUの運転器(ソフト制御)はMCU自体が誤動作や暴走した場合に自律的に運転を止める事が出来ません。この為MCUとは別にスタンドアロンで独立した動作が可能なハードウェア回路を設ける必要があります。

●MCDのブレーキ制御指令であるBRKO信号と外部からの運転指令信号(モータスタート/ストップ)とのAND論理回路をブレーキ回路のプリドライブ回路の入力経路に設けることで、大きな運転変更を行った場合に外乱ノイズなどが発生してもブレーキドライバ回路に駆動指令が入らないため、異常動作を防止できます。

構成部品の選定
●AND回路:
U4:TC74HC08FK TOSHIBA製 (VSSOP14)
基板面積に配慮し、小型パッケージ(VSSOP14)のものを選択
※S/S(スタート、ストップ)信号からの経路のノイズキャンセルのためにU5:TC74VHC04FKインバータを2個使用しバッファを通しています。