技術解説 DCモータの基本

モータ制御

DCモータの基本

この回では電磁モータの基本と言えるDCモータ(ブラシモータ)をモチーフに制御の例を解説します。

4章 DCモータの選び方

モータに限ったことではありませんが、何かモノを製作する手順としては、機能仕様を考案し、システム設計を行い、各要素パーツを吟味選定し揃えねばなりません。

モータの場合においても同じです。メーカのカタログ、仕様書入手し記載してあるスペックを見て目的に適合した機種を選びます。電動モータですから最小限でも下記の4項目は満たさねばなりません。

1)適合電圧(V)・・・使用する標準値、最大値に配慮
2)適合電流 (A)・・・使用する標準値、最大値に配慮
3)適合回転数 (rpm)・・・1分間の回転数
4)適合トルク (N・m)・・・1Nは0.102kgf
回転トルク:軸を回転させる力
負荷トルク:軸の回転を妨げる力
トルクの定義
トルクの定義
機構、用途別のトルク定義
機構、用途別のトルク定義
モータの性能は、T-Nカーブ(特性曲線)で表現されます。
・トルクに対し回転数は負の傾きに比例する。
・電流に対してトルクが比例する。
モータのT-N、T-I特性
モータのT-N、T-I特性

この特性から分かることは、回転数やトルクを一定にする制御を行う場合、電圧を制御すれば回転数もトルクも制御できると言えます。これは制御回路、方式を考える場合に重要でDCモータの制御は、シンプルな回路、方式で行えます。

5章 DCモータの制御

DCモータの基本的な制御について解説します。

5-1 基本方式(電圧制御)

DCモータの最も基本的な接続回路を示します。

基本的な接続回路
DCモータとDC電源との間にスイッチ(SW)を挿入した結線になります。
制御シーケンスは、以下の2種類になります。
①SWをONすると回路が閉じ(close)、モータに電流(IM)が流れ、モータが回る
②SWをOFFすると回路が開き(open)、モータ電流(IM)が流れなくなり、モータは停止する

この仕組みを実際に下記の回路を構成してモータを動作させ電圧、電流の波形をオシロスコープで観測します。

DCモータの基本実験回路図
基本実験回路図

オシロのch.1でDC電圧(V)を、ch.2でモータ電流が観測できます。モータ電流は、回路経路に直列に接続した電流検出抵抗0.5Ωの電圧を測定します。「モータに流れる電流 = 電流検出抵抗に流れる電流」なのでモータ電流は、(モータ電流で発生した電圧)÷(電流検出抵抗0.5Ω)として観測できる仕組みです。

実測した電圧と電流波形( ch1:V ch2:IM )
電圧と電流波形

ch.1の電圧波形を見ると、電圧V=約7.2V印加されており、ch.2の電圧波形を見ると、約24mV~60mVです。これは、電流IM×0.5Ωで電圧に変換されているものなので電流IMは、約48mA~120mA流れている事が分かります。

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