技術解説 LEDドライブ回路

実用アナログ回路

LEDドライブ回路

長らくLEDはGaP(ガリウム-リン)、GaInP(ガリウム-インジウム-リン)或いはGaInAlP(ガリウム-インジウム-アルミ-リン)で構成されていたため、物性的に赤外~緑色の発光に限られていました。その後緑色~紫外線までをカバーするGaN(窒化ガリウム)LEDが実用化され、また青色LEDと黄色蛍光体の組み合わせによって白色LEDが登場しました。その後も高演色化や高効率化、或いは深紫外LEDによる殺菌用途などLEDの技術開発は留まるところを知りません。応用範囲も当初のインジケータ的な利用から照明やバックライトへの応用が進み、電熱電球、ハロゲン電球や蛍光灯照明などのエコな代替え光源としてすっかり定着しました。

近年では、ノートPCやスマートフォンの液晶バックライトに加え自動車のウインカー、ブレーキランプ、ヘッドライトや航空機のポジション灯、交差点の信号機、高速道路の情報表示装置、街灯、電飾商業看板、電車、バスの方向幕、駅の運行表示など。更には農業分野で水耕栽培の光触媒光源など様々な分野で急速に普及が進んでいます。

今回はLEDを駆動する回路として輝度の制御と赤、緑、青LEDを用いた色相の制御を紹介します。

LEDが光るメカニズム

LEDの電気物理モデルは、ダイオードです。よって、基本的にアノードからカソードに順方向電流(IF)を流します(整流)。LEDは、このIF電流を電気エネルギーを光エネルギーへ変換することで光る原理です。

LEDの基本的な制御方法

LEDは、IF電流量の大小で発光量が比例します。

LEDの発光特性
LEDの発光特性
光量の調整はどうやれば良いか?

単純には、下記回路の様に電流制限抵抗RLを可変してやれば、電流量を調整することで光量は調整制御できます。

電流制限抵抗RLの可変
LED光量変調はPWMで

しかし、基板に実装された抵抗値を変更することは物理的に大変ですのでアナログ的に電流量を制御するPWM制御技術を利用します。原理的には、電源インバータやモータ制御と同じ電力制御技術になります。

PWMデューディを制御すれば、デューディに比例した電流量を制御できるという仕組みです。

PWMデューディ制御
フルカラー発光制御への応用

人の眼で判別できる可視光の色合いは光の三原色(RGB: Red、Green、Blue)の配分具合で決まります。LEDでも同様に赤色、緑色、青色3色のLEDを独立して光量制御を行うことで実現できます。

発光色の制御方法は?

では、具体的に制御回路で発光の色合いを行うかを説明します。

皆さんは、普段PCを使用していると思います。最近のPCは、殆どフルカラーです。このフルカラーは、デジタル回路で制御しているのですが、基本原理は、PWMのアナログ制御です。

カラーコード

色を表すもので、カラーコードというものがあります。

例えば、黒(black)ですが、これをカラーコードで表すと #000000(16進数)となります。

カラーコードのフォーマット
1 上位二桁: Redの濃さを意味します。(Hex:16進数表記)
2 中位二桁: Greenの濃さを意味します。(Hex:16進数表記)
3 下位二桁: Blueの濃さを意味します。(Hex:16進数表記)

例えば、黒(Black)の #0000 は → 10進数では、0+0+0=0 です。つまり、赤(Red)、緑(Green)、青(blue)ともにエネルギー0の状態。LEDのIF電流量に置き換えると、全色ともに電流0ということです。赤、緑、青のLEDを並べてIF電流量を調整できるようにしておいた場合、全色ともに電流0、つまりLED全色消灯状態ということです。

次に、白のカラーコードは #FFFFFF です。Hex:FF →10進数に変換すると、255となります。従って、赤、緑、青三色共にLEDのIF電流を255/255(=100%)流すと、白に発色できることになります。

この原理を制御回路に置き換えると、各LEDの変調分解能を0~255、つまり8bit分解能が制御可能なPWM制御回路を用意すれば良いことになります。

私たちは、日常、無意識に最先端デジタル機器の典型であるPCやスマートフォンを使用していますが、実は、アナログ制御によって、情報を人に伝えている訳です。